油中ガス分析の効果とは?注目の新方式もご紹介

変圧器を長期間適切に動かす上で重要なのが、不具合を事前に見つける定期的な点検です。突然の停止するようなリスクを抑えられれば、その分業務がストップすることもなく経営上の大きなメリットとなります。今回は変圧器の異常を見つける点検方法と、近年注目されている新しい点検方法をご紹介します。

 

油中ガス分析

変圧器の点検方法として、最もポピュラーな方法が「油中ガス分析」です。変圧器内部の絶縁油を採取し、成分を分析することで劣化を診断します。血液検査を行なって、コレステロール値や血糖値を計測し、健康状態を把握するようなもの…と言えば、よりイメージが掴みやすいでしょう。

まずはじめに、油中ガス分析で変圧器の劣化を見つけることができるメカニズムについて少々ご説明します。ここで採取する「油」とは、絶縁油のことを指します。絶縁油とは、変圧器内部の機器に使用されている油であり、文字通り絶縁効果や冷却効果の役割を担っています。変圧器を適切に動かすために、欠かすことのできない要素のひとつです。変圧器に異常が発生すると、それによって変圧器内部で、熱や放電現象が発生してしまいます。この際、変圧器内部の絶縁紙や絶縁油に熱が加わることにより、ガス(アセチレンなど)が発生します。このガスは絶縁油の中に溶け込む特性を持っているため、絶縁油を抽出して成分を分析することにより、変圧器の不調を診断することができます。この分析を定期的に行なっておけば、突然の停止や内部機器の損傷といった各種リスクを効果的に予防することができます。逆に、この分析を行わずに異常を放置してしまうと、アーク放電や部分的な放電、局部加熱、コイルの破損など、大変危険な状況になってしまいますので、くれぐれもご注意ください。

 

 

油中ガス分析のメリット

絶縁油を分析することにより、変圧器の故障リスクを予防できることは上記で確認できました。変圧器の点検方法としては、他にも絶縁物の強度確認による劣化度の測定、精密検査などの方法がありますが、どれも変圧器の運転を一旦停止する必要が発生してしまいます。しかし、油中ガス分析であれば、運転中でも油を摂取することが可能です。普段の業務を止めずに、しっかりと検査が行える点も大きなメリットと言えます(この際は、変圧器に排油弁があることが条件になります。設置時には排油弁のあるモデルを選ぶことをおすすめいたします)。

 

今、注目の「油中ガス分析の遠隔化」とは

変圧器の検査に欠かせない油中ガス分析。しかし、この中ガス油分析にはデメリットも存在します。

①その場でデータを確認できない

多くの事業所では採取した油を、メーカーや検査サービスを行う事業者へ送付し、分析結果を取得しています。自分たちで即時に結果を確認できないため、結果がわかるまでにタイムラグが発生してしまいます。

 

②定期検査のペースでしか検査できない

油中ガス分析は年次検査や、半年毎の検査で行う事業所が多いようです。適切な保守管理ができていればそれでも問題はありませんが、やはり、突発的な異常や、何らかの不具合を見逃していた場合は、検査間隔の開きが問題を引き起こしてしまいます。例えば半年毎の検査の場合でも、1月に検査を合格したのち、3月に事故が発生してしまう可能性は0ではありません。現場担当者の経験が浅い場合など、不具合の兆候を見逃してしまったために変圧器が停止し、事業に大きな損害が出てしまうケースもあるようです。定期検査は大切ですが、それに頼りきってしまうのは一つのリスクだと考えた方がベターです。

 

③変圧器が設置してある場所へ行かなくてはいけない

普段通勤している工場などの変圧器であれば、定期的な絶縁油の採取もそれほど苦ではないでしょう。むしろ、検査スケジュールを忘れないようにする方が大切です。

しかし、これが人出の少ない場所に設置してある変圧器であればどうでしょう。検査のたびに専門知識を持つ担当者が現地まで足を伸ばさなければなりません。人手不足問題が叫ばれる現在、人員や時間の確保は容易ではありませんし、それがアクセスの悪い場所であれば尚更です。しかも多くの場合、アクセスが悪い場所に設置された変圧器は、その地域で働く人たちの生活を支える役割を担っています。変圧器が停止してしまった場合のリスクも、その分だけ大きくなってしまいます。

 

このように、油中ガス分析にはオペレーション上のデメリットが存在することも確かです。

しかし、上記の問題に対する解決策が、近年大きな注目を集めています。浴

それが「油中ガス遠隔監視システム」。変圧器にガス成分を感知できるセンサー装置を搭載することで、文字通り油中ガスを常時遠隔監視することができるソリューションです。常時監視が可能なため、異常を即座に察知することができ、遠隔地でもすぐにデータが手に入ります。主な開発先としては、高度なセンサー技術を持つ「ルマセンステクノロジー社」などが提供しています。

そして、私たちアジア創研産業はそのルマセンステクノロジーの国内独占代理店となっております。ご興味を持たれた方は、是非お気軽にお問い合わせください。変圧器をより安全に、効率的に運用するための各種ソリューションをご提供いたします。

 

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